仔犬でも成犬でも家族の一員として迎えた飼養者は、迎えた犬とバランス良く暮らすためにトレーニングと社会化をすぐに始めなければならない。
迎えた犬は、当然のごとく飼養者の家庭のルールなど知らないのだから好き勝手し放題。飼養者がまだ来たばかりだから、可愛いからとそれを許してしまうと犬は、それが犬にとって良いことと刷り込まれ、犬のルールとなってしまう。
そのような環境で育った犬と暮らす飼養者には、夢抱いていた犬との暮らしとのギャップが生じ、犬との暮らしがストレスとなり、最悪の場合、飼養放棄に。また、犬が飼養者を咬んだり、他人を襲ったりする事故が記事になるとすべて犬が悪いという風評が世間を賑わす。犬にとっても他の愛犬家にも不幸な話である。
そうならないためにも犬を迎えた日からトレーニングと社会化が始まるのだ。敢えて言うなら犬を迎えた日から2、3日は犬に付きっきりで世話ができる時が犬を迎える日にベストなのである。
余談だが、私が飼養していたマルチーズ♂のチーくんも飼養者を咬むとい理由で飼養放棄された犬だった。平成4年の事だから現在の様にネットなどは普及していなく、保護団体も少ない時代だった。私の知人の知人が飼養していたため私に声が掛かったという次第だ。チーくんは1歳で私の家族になり、約1ヶ月のトレーニングと社会化で元の飼養者も驚くほど良い子に変身し、15歳で犬生に幕を下ろした。
トレーニング・社会化のプログラムは、仔犬、成犬、犬種、性格などにより異なるのでその犬その犬に合ったプログラムを組む必要がある。
一般的なトレーニングはオービディエンストレーニングと言い、服従訓練と呼ばれるものである。コマンドは多数あるが、「オスワリ」「マテ」「オイデ」「ちょうだい」「フセ」「タッテ」「ツイテ」「もってこい」の8つのコマンドに従えるようになれば、人と犬がバランス良く暮らせる。
初めは、「オスワリ」から始めるのが良いと思う。ひとつのコマンドを覚えたら次のコマンドへと移行していく。日々のトレーニングの積み重ねが大切なのだ。また、遊びの中にトレーニングを組み入れるのも良いと思う。
8つのコマンドにはそれぞれに下記のように意味があることを理解してほしい。
「オスワリ」
落ち着かせる。トレーニングに興味を持たせる。飛びつき防止。
「マテ」
我慢させる。犬に自信を付けさせる。指示に従うことで安心・安全である。
「オイデ」
信頼関係を深める。危険を回避する。
「ちょうだい」
口に咥えているものを出させる。所有欲の防止。誤飲回避。
「フセ」
服従心を養う。攻撃や恐怖から身を守る。どんな場所でもリラックスできる。
「タッテ」
グルーミングする。診察してもらう。
「ツイテ」
他人に迷惑をかけないようにする。拾い喰いの防止。
「もってこい」
必要なものを持ってこさせる。遊びの一貫として。
そして、各トレーニングの基本は、
アテンション➡アイコンタクト➡コマンド➡褒める➡解除 である。
また、犬がトレーニングに集中できる時間は、5~15分と言われていることを覚えておいてほしい。
Twitter「犬と暮らすということ」でいくつかのトレーニングを呟いているので興味のある方は参考にしてほしい。
文・写真:𠮷川孝治
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