あんプリふわのご飯…いぬめし

我が家のあんず・プリシラ・ふわりのいぬめしは、ローフード(生食)だ。

フードにはドライフード、ウェットフード、熱を加えた手作り食などいろいろあるがどのフードを選択しても良いと思う。答えは犬が健康であれば良いのだ。

あんずを我が家に迎えてから3歳の頃、膀胱結石になるまでのフードはドライを与えていた。膀胱結石になってから1年間、石を溶かすためにSD缶を与えたりしたが結石は溶けることなく結局のところ手術となった。手術後、動物病院から療養食(ドライ)を薦められたが私はそれを選択しなかった。獣医師から結石は体質的になりやすい犬がいるので療養食を与えていても再発の可能性が50%あるとの説明を受けたからだ。獣医師の体質的になりやすい犬がいるという説明が私には腑に落ちなかった。

あんずはもともとあまり水を飲まない犬だったのでフードから水分摂取ができればといろいろ調べた末に辿りついたのがドイツ在住の獣医師・京子アルシャーさんのブログだった。

以後、あんずのいぬめしはローフードとなり、後に我が家のファミリーに加わったプリシラ・ふわりもローフードを食している。

余談だが、あんずの膀胱結石の治療費と手術費が高額だったのであわててペット保険・アニコムに加入したがローフードに切り替えてからのあんずは至って病知らず、プリシラ・ふわりもしかり。我が家の犬たちにとってローフードは正解だったと思う。

ローフードに興味を持たれている方のために私が勉強したローフードと犬について記したいと思う(京子アルシャーさんのブログ参照)。

まず、はじめに「犬は肉食動物」。

犬の歯・左右に動かせない顎の骨の形状、消化器官のしくみはまさに肉食動物なのだ。

ローフードを作るにあたり「犬は肉食動物」だということを覚えておかなければならない。犬は雑食ではなく他の肉食動物よりも雑食に対しての適応性があるというだけのことなのだ。

人は雑食だから健康のために1日30品目を目標とするが犬の場合には肉・魚の色々な部位を与えることでバランスの摂れた「いぬめし」となる。

犬の体を作る上で大切な栄養素はたんぱく質だ。

たんぱく質は筋肉になるだけでなく、皮膚、被毛など体を構成する様々なものになる。たんぱく質には動物性たんぱく質と植物性たんぱく質があるが動物性たんぱく質には必須アミノ酸が含まれているので動物性たんぱく質で犬に必要なたんぱく質を摂ることにより健康な体が出来上がる。

※肉・魚にどれくらいのたんぱく質量が含まれているかは江崎グリコのHPが参考になる。


エネルギーの消費は炭水化物、たんぱく質、脂質の順番に消費されていくのでエネルギーの消費にたんぱく質が使用されないように餌食量の10~20%が炭水化物となるようにする。

また、犬の体重1kgあたり、1日の必要量としてカルシウム100mg、リン60mg(カルシウム:リン 5:3)、ナトリウム50mg、亜鉛0.9mg、鉄1.4mg、銅0.1mg、ビタミンA24.75~33μgRE、マグネシウム8.8mg、オメガ3(n-3)107.1mg、オメガ6(n-6)150mg(n-3:n-6 1:1.4)、ビタミンE(n-3+n-6)×0.4mgとなっているがローフード(熱を加えた手作り食を含む)の場合、亜鉛、鉄、銅が不足し、マグネシウム、リンが多めになる。毎回の「いぬめし」で市販のドッグフードみたいにきっちりと必要なエネルギー、栄養素、ビタミン、ミネラルを満たすことは不可能なのだ。犬は体内に必要なものをストックするポケットを持っているのでポケットが空にならないように3~4日の平均で1日の必要量がカバーできればいいのだ。ただし、比率が明記されているものは比率を重要視しなければならない。

餌食量は、一般的に犬の体重の2~3%と言われているが大型犬よりもエネルギーの消費が多い小型犬の場合は10%とも言われている。これだと餌食量があまりにもアバウトなので私がお勧めする餌食量の決め方は、今まで犬に与えていたドライフード(1食)量の1.5倍の量を肉・魚+白米の量とすることだ。あんず(体重3.2㎏)の場合、ドライフード時代は28g/1食だったので42g(内訳:肉・魚32g+白米10g、または肉・魚42g白米なしに餌食量の5%以内の野菜類+魚骨)/1食からスタートした。現在も42g/1食で3.2㎏の体重をキープしている。参考までにプリシラ(体重2.3㎏)は、32g(内訳:肉・魚26g+白米6g、または肉・魚32g白米なしに餌食量の5%以内の野菜類+魚骨)だ。今年1月に我が家に迎えたふわりは少し痩せ気味で体重が2.0㎏だった。ふわりの理想体重は2.2~2.3㎏。当初、プリシラと同じ餌食量にしたが一向に体重が増えなかったので2gずつ増やして様子をみた結果、ふわり(体重2.2㎏)は、38g(内訳:肉・魚30g+白米8g、または肉・魚38g白米なしに餌食量の5%以内の野菜類+魚骨)となった。プリシラとふわりの例からもわかるように犬にはそれぞれに個体差があるので注意しなければならない。餌食量が適切かどうかの判断は、犬の便で判断する。量が多すぎる場合は軟便になり、量が少ない場合は水分の無い硬い便になる。便の様子をみて量を決めていく。

ローフードは前述したように市販のドッグフードみたいにきっちりと必要なエネルギー、栄養素、ビタミン、ミネラルを満たすことは不可能だ。ローフードによって余分に摂取したビタミン・ミネラル類は尿、便で排出される。犬の尿のphは運動、興奮すると酸性になるが、それ以外はアルカリ性となっている。膀胱内の尿が少ない状態でアルカリ性になっているとミネラルの結晶体ができやすくなる。通常は運動等で尿が酸性になるとミネラルの結晶体は溶けてしまうので問題はないが尿にキラキラしたものが見受けられる場合はストルバイト(結石)予備軍になる。水を飲む量が少ない犬に多く見受けられるので「いぬめし」は水分摂取が多いローフードにし、膀胱内の尿量、尿の回数を増やして予防する。

また、食品にはアルカリ性食品と酸性食品がある。肉・魚白米は酸性食品で野菜類はアルカリ性食品だ。運動等で尿が酸性になるからといって犬を食後すぐに運動させると胃捻転等をおこす可能性があるので注意が必要だ。アルカリ性食品を食べた時の尿はアルカリ性になり、酸性食品を食べた時の尿は酸性になる。あえてアルカリ性の尿にアルカリ性食品を食べさせてアルカリ性にすることは不必要なので野菜類は餌食量の5%以内にとどめるのだ。もうひとつシュウ酸カルシウム結石という尿が酸性の時にできる結石がある。ほうれん草などの葉物野菜にシュウ酸が含まれているので野菜類を餌食量の5%とどめる要因のひとつでもありる。あえて野菜を使わなくても犬に必要なビタミン・ミネラル類はレバー等の内臓物で充分にまかなえることができる。

「いぬめし(ローフード)」を開始したら犬の体型を観察することが大事だ。プリシラとふわりのように個々の犬によって適応性が変わってくるし、調理方法などによっても変わってくる。犬に必要なエネルギー(カロリー)、ビタミン・ミネラルの必要量はあくまでも目安であって正解ではないのだ。体重は週に1度は量り、痩せてきたらエネルギー不足なので同じ餌食量でエネルギー量を増やす。また、太ってきたらエネルギー過多なので同じ餌食量でエネルギー量を減らす。たまたまその週は、雨が続いて散歩に行けなかったり、連休で運動量が多かったりの要因が大だからだ。餌食量は、前述したように餌食量が適切かどうかの判断は、犬の便で判断し決めているのでエネルギー量の増減で調整を行うのだ。エネルギー量を増やすのは、赤身肉を減らし鶏皮、脂身を多くしたりオリーブオイルを数滴混ぜればよく、減らす場合は、鶏むね肉やささみに変えることで事が足りる。ただし、体重の増減があっても下記の図の標準の状態なら問題がないことを覚えておこう。

また、肉球を触ってみて角質が硬くなっている場合は亜鉛が不足している。亜鉛が充分量摂れている犬の肉球は薄く柔らかいのだ。フケが出やすい、毛艶が悪い場合も亜鉛が不足している場合が多い。これらの兆候が見受けられたら亜鉛を多く含む食材(サプリでも可)を利用しよう。

そして犬の便の質を観察することは何よりも大事なことだ。犬の便が硬く白くボロボロになっていたらカルシウムの与えすぎなのでカルシウムの量を減らさなければならない。また、食物繊維が多すぎると柔らかな便になるので食物繊維を減らさなければならない。

我が家の「いぬめし」をご紹介しよう。

あんず・プリシラ・ふわりの肉の調達先は主にスーパーだ。特売で牛肉が安ければ牛肉を、鶏もも肉が安ければ鶏もも肉を。犬用生肉の販売店で主となる肉を購入することはほとんどない。ただ、さすがに内臓肉類はスーパーではなかなか手に入らないので通販を利用している。スーパーで購入した肉と内臓肉類をミンサーで挽き肉にしている。

野生よりも快適な「いぬめし」にするために野菜MIXはかかせない。

野生のイヌ科動物は、獲物の胃袋で途中まで消化された内容物も一緒に食べてしまうことで野菜系の食材の栄養素や食物繊維を補っている。

人がこれを再現する場合、擦り潰す必要があるが私の場合はミキサーを活用している。

野菜MIXの食材は、濃い緑色の葉もの野菜、オレンジ色・黄色・赤色の野菜、キノコ類、海藻類、魚骨だ。たまにナッツ類、果物類、卵殻、擦り胡麻、チーズを加えることもある。

ただし、アブラナ科のキャベツ、ブロッコリーなどは、与え過ぎると犬のお腹にガスが溜まったりするので大量に使わないようにしている。

これらをミキサー投入しスイッチを押せば出来上がる。

出来上がった野菜MIXにりんご酢を合わせて完成。

これが私のあんず、プリシラ、ふわりのための野菜MIXだ。

特製スープも私の「いぬめし」ではなくてはならないものだ。

私が毎朝、朝食で食べる干物の頭・骨・皮(煮干しで代用ができる)を圧力鍋で煮込むとDHA、EPAたっぷりで塩分がほどよく混ざったスープとなる。そして、この煮込んだあとの骨が野菜MIXに入れる魚骨となるのだ。

肉・野菜MIX・特製スープの3種の神器にサプリメントを加えるとあんず・プリシラ・ふわりが食する我が家の「いぬめし」となるのだ。

京子アルシャーさんの名言。犬の理想的な便とは「力み過ぎずに出せ、跡を残さず、そしてキッカプル(Kickable:蹴り飛ばすことができる)」硬すぎず、柔らかすぎず1日2回程度の頻度で排泄されること。

いつまでも健康でいてほしい。


文・写真:吉川孝治


あんず山荘の仲間たち Dog Training Partner

犬とバランスよく暮らすために、犬をもっと感じるために。

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